本業にプラスに働く副業

いまだに公務員は原則として副業が禁止されている。一方で、副業を禁止していた大企業が解禁の動きを見せており、インターネットを通じて副業をする人が増えているのは周知のとおりである。なぜこのような動きが加速化しているのだろうか。

その一つは、副業が本業へ与える影響が無視できないからである。

事業というのは、人による力の発揮にある意味でその成否を依存している。従業員がどれだけ能力を発揮できるのかが重要であるということだ。その点、ある従業員が自社以外に他社で働くことによって別の企業のノウハウを習得することができる。例えば、印刷会社での勤務を本業とする従業員が、副業でファストフード店のアルバイトを行った場合、ファストフード店のオペレーションノウハウを自動的に習得することができる。そのオペレーションノウハウが本業で活かされれば、本業で生み出す価値が高まる可能性は高いと言える。

このように、副業によって得た知識を本業で活かすこと、あるいは、副業で得た経験によって人的な価値が高まることで本業への貢献性を高めることが事実として見られるため、大企業では副業反対から賛成の立場へと移行したものと考えることができる。

企業にとって人材の能力を高めるのはコストがかかるものである。しかし、副業を行うことを通じて人材自らが能力を高めてくれるという点で、副業はむしろ推進するという風潮が生まれてきているのである。